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ダンス最新情報
宮田亮平文化庁長官殿
文化庁「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付について経過説明と撤回を求めます。
私たち特定非営利活動法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(以下、JCDN)は2001年の設立以来、ダンスの持っている力を現代社会に活かし、より豊かな社会を創り出すために活動を続けてきました。
この間、事業の実施・継続にあたっては民間企業の支援を受けることと並行して、文化庁の支援・委託を受けて様々なダンス事業を行ってきています。2002年の芸術団体人材育成支援事業を皮切りに、国際アーティスト・イン・レジデンス事業、復興支援事業などJCDNの中核的事業が本年度まで継続して公的支援の対象です。ある一定の規模で文化芸術事業を行う際、これらの公的支援は必要不可欠です。
平成29年に施行された「文化芸術基本法」の前文には、次のように書かれています。
「現状をみるに,経済的な豊かさの中にありながら,文化芸術がその役割を果たすことができるような基盤の整備及び環境の形成は十分な状態にあるとはいえない。二十一世紀を迎えた今,文化芸術により生み出される様々な価値を生かして,これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し,発展させるとともに,独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することは,我々に課された緊要な課題となっている。」
これらの課題解決のための実際的な担い手として、私たちJCDNのような特定非営利活動法人(NPO)や中間支援団体が想定されていて、芸術家や芸術団体と共に、その基盤を作るための活動に対して公的支援が行われているのだと認識しています。
こうした状況の下、文化庁は2019年9月26日に「あいちトリエンナーレに対する補助金の取扱いについて」を発表しました。私たちJCDNをはじめとした中間支援団体にとって、その国の未来を創るために不可欠な文化行政をすすめる役割を持つ文化庁が、不明瞭な根拠をもとにこのような決定を下すことが信じられません。これまでの文化庁の歴史と活動を自らが否定する深刻な事態です。
公的支援対象事業を担う団体の一つとして、文化庁に対して今回のあいちトリエンナーレに対する補助金不交付の決定の撤回を求めると共に、そこに至る経過の詳細な説明を強く求めます。
その一方で私たちJCDNは、ダンス関係者および創造活動にかかわるすべて人々の表現の自由と、鑑賞者や支援者の知る権利・見る権利を尊重しながら、今後も委縮することなく活動を続けていくことを宣言します。
2019年11月8日
特定非営利活動法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク