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ダンス最新情報
2023年、NPO法人JCDNの25年目を迎えるにあたって
1998年4月にスタートした3年間のJCDN設立準備室から、今年で25年目を迎える。
法人設立は2001年。その頃コンテンポラリーダンスというムーブメントは、勢いがあった。
カンパニーも沢山あり、今も続く横浜ダンスダンスコレクション、今はなきトヨタコレオグラフィアワードや、東京ではセッションハウス、横浜ではSTスポット、大阪ではダンスボックスがダンスの拠点として、新しいダンスのアーティストが次々に生まれていた。JCDNも、2000年から「踊りに行くぜ!!」という全国巡回のプロジェクトを開始。札幌・東京・横浜・大阪の4地域で始まった企画が、毎年開催地を増やし、7年目からは全国札幌から沖縄まで、21地域で開催していた。
しかし2010年代に入り、その勢いが弱まってきた。だんだん地方でのダンス公演やワークショップが減っていった。それは全国どこの自治体も文化予算が少しずつ削られたり、担当者が変わったりと、受け元が少なくなっていった。受け元=主催者が減るということは、作品を発表する機会が減ること=活動が減っていくこと=アーティストが育つ場がなくなる、に繋がる。コンテンポラリーダンスというムーブメントは、もう終わったのではないかという人もいた。確かに、舞台芸術としてのコンテンポラリーダンスは、実際になかなか新しいアーティスト(振付家)が生まれにくい時代に入ってきた。
しかし一方、ダンスアーティストとしての社会の中での活動は、反対にこのころから徐々に広がってきた。それは小中学校での授業や、障がい者と作るダンス作品であったり、高齢者施設など様々な福祉施設でのワークショップだったり、地域の中で子どもから高齢者まで障がいに関わりなく一緒に創るダンスだったり。劇場ではなく、地域の中でダンスが必要とされ、全国的に広がっていった。
これらの地域での活動が、これまでの日本の舞踊(ダンス)の歴史の中で大きく違うことは、ダンスアーティストが、先生としてダンスの技術を教えるのではなく、参加者からそれぞれのダンスを引き出すナビゲーター(ファシリテーター)の役割になっているということだ。
そもそもコンテンポラリーダンスには型がないことが大きな特徴である。それぞれのアーティストは自分のダンスの型=スタイルを発明するところから始まる。それはアーティストだけではなくすべての人に当てはまるという、これまでの日本の舞踊史には全くなかった発想である。そして、アーティストにとっても創造的刺激となっている。各現場でダンスが人々から求められていることを実感した。
あらゆる面で、これらの地域での活動を含むコンテンポラリーダンスというムーブメントは、まだ30年程度の歴史の黎明期であり、我々はその第一世代なのだと思う。そしてそのムーブメントは、これまでの日本の社会の中で、芸術のあり方、役割を変革する大きな力を持っている。よくコンテンポラリーダンスは、どのように観たらよいのかわからない、理解できないといわれる。たぶんそれは作品にもよるのかもしれないが、日本の教育システムの中で、自由に発想しながら自分の視点でものを見るという教育がないことにも起因しているだろう。
しかし新しいことを継続的に行うのは、その価値を社会がまだ認識していないから、とても困難が付きまとう。その為の環境がまだ整っていない。その活動が日本の社会にとって意味があり、必要なことだと考えるならば、その環境から自分たちで形作っていく必要がある。
目指すところは、ダンスが創造的な産業として、社会の中で不可欠な存在になること。
JCDNのこれまでの25年は、その基盤を創るための開拓の時間であった。全国のネットワーク作り、各地の様々な主催者との連携、学校など地域の中での活動、アーティストとの協働事業など、これまでダンスがなかったところにダンスの種を植える活動だった。
ダンスの創造的産業化を目指すのに重要だと考えていることは、
〇次世代のダンスアーティスト(振付家、ファシリテーター)が育つ環境
〇異業種との連携
〇他地域で同じ志を持っているアーティストや主催者との連携
〇これまでダンスに出会ったことのない人に、ダンスの面白さを知ってもらうこと
〇応援者を開拓すること
各地の点としての活動が、異業種や他地域と連動することにより、線となり、その線が日本全国に縦横無尽に張りめぐされることにより、日本を覆う面となってくる。そうしたらそれはダンスによる創造的産業と呼べるものになるだろう。あと10年、いや50年、いや100年かかるのかわからないが、何を目指すのか、どこを目指すのかで、在り様は変わってくる。
次なるステップに向けて、今年から進めていこうと思います。
みなさまのお力添え、今後ともよろしくお願いします。
2023年1月5日
NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク
代表 佐東範一