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Japan Contemporary Dance Network

NPO法人 ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

[無料公開ページ] 身体と心、両方を形にする 〜 初めて身体を動かす子供たちに 〜

34. 繰り返しの動き

  • アドヴァイス

アオキ:子どもたちの状況を見ていて、繰り返しの動きをする子がいなかったんです。なので、繰り返してみよう、というワークを入れました。動きの繰り返しは大切で、繰り返すことでその動きをインプットしてもらいたいんです。そして、「感情の動き」に入っていくので、その導入でもあります。いきなり感情を出して動こう、といってもなかなか難しい。繰り返しの動きで、嬉しい繰り返し、悲しい繰り返しっていう風にすると、動きやすくなる。

D:感情を表現してるのではなくて、動きから始めるんですね。

アオキ:そうなんです。まず動きが生まれて、それに感情をつけてみよう、という流れです。前これを「絶望的にやってみて!」って子どもたちに言ったら、「絶望を経験したことがないから分からない」って言われた(笑)。

D:かわいいですね(笑)。

アオキ:ここでやりたいことは、動きに感情がくっつく、ということ。動きが先です。例えば、悲しい、ということを感情を先にやると、おそらくみんな、顔を下に向けて悲しそうな顔をする、ということになってしまう。でも、日常的な動きがまずあって、その動きに「悲しく」「楽しく」「怒ってみて」という変化をつけていく。動きには感情が入れられるんだ、ということを知ってもらいたくて、そうすることで動きの幅、表現の幅が広がる。

D:確かに、怒った動きをしなさいって言われたら、みんなプンプンみたいな動きになってしまいますよね。

アオキ:もちろんそれでも悪くはないんだけど、それ以外にも色々な動きがあるわけですよね。

D:一回一回「どうだった?」って感想を聞いて回っていますが、その必要性というのはどういうところでしょうか?

アオキ:ダンスをやり慣れていない子どもって、不安がつきまとうと思うんです。大丈夫かな、不安だな、って。そういう子に発散させてあげるんです。喋ることって発散なんです。感想を言ったり、口に出すことで自分の思いを外に出す。1つストレス解消。ずっと黙ったまま一言も喋らないでクラスをやっちゃうと、詰まっちゃう子は詰まったままになってしまうんですね。

D:各自思ってることを言いたいっていうのがあるわけですね。

アオキ:そうなんです。心の中でモヤモヤしてるものが、言葉にすることで形になっていく。
踊りには、ストレス発散がちゃんと入ってないといけない。

D:こういうワークは、何回もやっていくといいかもしれないですね。

アオキ:別の日にまたやってみるとか、継続してやっていくと良いと思います。小中学校で、十何回のダンスの授業があるとして、毎回違うことをやる必要はなくて、同じワークを繰り返して入れていって、変化を見ることも大切です。初めはうまく動けなかった子も、繰り返してやっているうちに、次はこう動こうかなって変わってくると思うんですよね。

D:その変化を1回のクラスで、あんまり焦ってやらせちゃいけないんですね。

アオキ:焦っちゃだめです。すごく繊細なものだから。こういう動きというのは、みんなの心の中なんです。