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Japan Contemporary Dance Network

NPO法人 ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

[無料公開ページ] 振り付けしてみよう「ネームダンス・クリエイション」

ここでは自分の名前をもとに振付体験にチャレンジ。誰もが持っている「名前」が素材という同条件のもと、互いの個性が際立ち発見も多い。

24. 身体拍子にしてみよう

ここからがクリエーション本題。手や足だけに反映されたリズムをいよいよ身体全体に広げていく。個々人の身体への発想の多様さをしるためにも格好のワーク。

 

  • ねらい

振付にチャレンジさせよう。

  • ポイント

自分なりの発想が大切であることを伝える。
振付することにチャレンジする。自分なりの発想が大切であることを伝える。

  • アドヴァイス

D:だんだん、全身になっていきますね。

隅地:全身になる前に、もうひとつ何かあってもいいかなと思ってるんです。以前、障害者の方々を対象にやったことがあって、その時はファーストネ-厶だけにしたんです。まずファーストネームして、そのあとフルネームにしてみるとか、段階的に進めていくといいかもしれません。

阿比留:運動会や体育祭で発表するダンスの場合、先生がネタを仕入れて来て、みんなで一生懸命練習するわけですが、創作という意味では、もっと豊かな体験が取り入れられたらいいなと思うんです。何かちょっと違ったことができないかなと。例えば30人いたら、30人分のネームダンスの振付けが生まれますね。それを元に作品を作る、とか。つなげてみて、クラスのオリジナルダンスを創るとか。

D:これもショーイングがありますね。

隅地:デュエットにすることもできれば、カルテットにすることもできます。エクササイズというよりは、自分の作った動きを相手に伝えるので、作品を創っている感覚の作業になっています。一緒の動きが出来ると、ダンスっぽく見えてきます。短い振付けの素材としてはこれは有りだなと思っています。

阿比留:ダンスを人に伝えるって、自分のこだわりとかを丁寧に伝えなければいけない。この動きはこういう感じ、っていう風に、色々な言語を駆使して相手に伝えるわけです。とにかく自分のできる手段を全部使って伝えるべきなんだということを、いつの間にかやっているということが良いなと思っています。

隅地:それから、この動きはOK!でもこの動きはしっくりこない、なんでだろう、とか、そういうことを考えるよい機会にもなります。

D:教えなきゃいけないとか、伝えなきゃいけないって思わせること、相手に説明するとか、動きを説明することも、大事な時間になってくるんですね。

阿比留:そうですね。そういうコミュニケーションも発生する。どんなジャンルにも大事なことだと思いますが、自分がやりたいと思うことをできる限り言葉で言えるようにしたい。

D:ネームダンスのデュエットの評価、というのはどういうところが基準になるのでしょうか?

隅地:どれだけ濃密なやり取りが行われたか、ということです。2人で踊ってもらうと、意外と一目瞭然で、2人の間で雑なやりとりしか行われていないと、やっぱりそれが身体に出てくるんです。

D:それは、ダンスの先生じゃなくてもわかる?

隅地:わかると思います。ここでやるべきことは、ユニゾンですから、2人が違ったことをやってるような場合は、指摘したりします。上手くやってほしいってわけではなくて、ちゃんと相手の動きを尊重して、そこにきちんと注意を払ってほしい、ということなんです。

D:なるほど、2人でやりましょうというワークの時に、最初の方の鏡のワークとか、ああいうのが効いてきたりするわけですか?

隅地:もちろん。ここで使うためにさきがけてやっているわけです。ちゃんと注意深く見る、注意深く再現するというのは、相手の身体、ひいては相手の存在を尊重することにとって大切なんです。

阿比留:ネームダンスは、リズムから解放されているから、音楽的な1,2,3,4とか、そういう共通するリズムでの振り付けではないというところが面白いです。

隅地:創作的ですね、カウントで割り切れなかったりするので、お互いの呼吸で合わせていく必要もでてきますし。

阿比留:なぜそのリズムなのかって、多分作った本人には理由やこだわりがあると思うんです。その次の段階で、じゃあ音楽をかけてみようみたいな方が、豊かに発展する気がします。最初から音楽で拘束するよりも。

D:音楽のリズムで作りましょうとなると、その音楽に合わせる作業でしかない、ということですよね。

隅地:そうなんです。音楽のリズムではないリズムでダンスを作ると、逆に色々な音楽で試すこともできるんです。
ショーイングで、3組くらい同時にやってもらうと本当にリズムのバランスが色々変わるので面白いですね。

D:これ自体を作品みたいに見せていくっていうのは、また大変になっていくわけですか?

隅地:そのまま一組ずつ並べてもいいし、2人ずつ座って、思い思いに相手にもたれているみたいなところから、順番だけ決めておいて輪唱のようにやってみるとか。そういう構成をやってみることも可能ですね。例えば、このモチーフを3回ずつ繰り返すことにして、その繰り返し方にアレンジを加える。それを真ん中において、初めと終わりの演出を作る。そうすると、ちょっとした作品に見えてきます。さらに何組か集めて、時間差でスタートさせるとか。不思議なカノンのようにも見えますよ。終わった人から去っていくようなこともありです。そういう演出のあるダンスが体育祭などで踊られるようになればいいなぁと思ったりします。

D:ネームダンスのような作り方の場合、この目的というのは、全員が同じ動きで、揃っていることが美しいというようなものではないですよね。ダンス特有のズレの美しさ、面白さというのがあります。でも、ダンス未経験の先生が現場に多い場合、この面白さはどういう風に伝えたらいいのでしょう。

隅地:生徒たちそれぞれが考えた動き、オリジナルである、というのが貴重なんです。そういう貴重さ、豊かさを知ってもらうと良いと思います。

阿比留:イベント的に盛り上げる、ということが目的なのではなくて、まずは、楽しんで踊っていた、とか、そういうものが見えるといいんです。楽しそうに見せる、のではなくて、本当に今みんなで楽しく踊っている、なぜかというと、自分たちがきちんと取り組んだものだから、という空気が伝わるといいんです。