JCDN

Japan Contemporary Dance Network

NPO法人 ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク

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ダンス最新情報

受講者募集!!Dance Camp @城崎国際アートセンター/ ダンサーのための実践的パフォーマンス・ワークショップ

JCDN公募

2018.10.05

KIACは、“歴史と文学といで湯のまち“で有名な城崎温泉に位置し、複数のスタジオと劇場、自炊ができるキッチンを有しています。体を癒してくれる城崎温泉の8つの外湯を市民と同等料金で利用できるサポートもあり、自然環境にも恵まれた世界レベルのレジデンス施設を伴う国際アートセンターです。この素晴らしいセンターで、日常から離れ講師とともに滞在しながら、あなたのダンス・スキルをレベルアップできるまとないチャンスです!お見逃しなく!!

photo: Hideto Maezawa

 受講者募集!!  この事業は終了致しました。
近年、コンテンポラリーダンサーは、ダンス以外の他ジャンルの作家や、様々なジャンルの振付家との共同作業の機会が増え、それに対応できる特殊能力が求められるようになってきました。そのために、パフォーマンスの豊富なボキャブラリーや、作品への理解力・対応力を身体表現としてアウトプットできるスキルが必要となってきています。 また一方で、コンテンポラリーダンス公演には、観客が集まりにくいという声も耳にするようになってきました。

観客に「とにかく、観たい!!」と思わせるパフォーマンス力・身体表現能力はどのように身につけることができるのでしょうか?そのためのひとつの取組みとして、今回は、コンテンポラリーダンスの視点から、複合的な舞踊のフォームやテクニックの様式美に習い、日本人の体形に即した独自のパフォーマンス力を身につけるため、4つのキーを設け、適した講師陣を招き<実践的ダンス・ワークショップ>を開講します。
改めてバレエやリリーステクニックなどの手法を紐解き、ムーブメントを再構築
これまでコンテンポラリーダンサーが踊ったことのない古典 日本舞踊の名作を習う
音楽とダンスの関係をとことん吟味した振付けをつくって踊る
舞踏の身体訓練を演習し、1980-90年頃に踊られていた金粉パフォーマンスを再現

城崎国際アートセンター(KIAC)にて、合宿形式で生活を共にしながらワークを行うことによって、集中的に参加者が互いに刺激し合いながら取り組む機会とします。

KIACが観光地に位置することから、新しい刺激を求めている滞在客、日々サービス業に携わる旅館業界の方々、同時に広く豊岡市民の方々を招き、ワークショップの成果発表を実践的なショーイングとして公開します。皆様からフィードバックをいただきながら、地域におけるこれからのダンス・パフォーマンスの在り方について話しあえる交流の場を持ちたいと思います。

また、ここでのショーイングの一部を3月21日に京都芸術センターで「どうしても観たいと思うコンテンポラリーダンス作品とは」をテーマに行うトークの場に、題材提供として上演することを計画しています。
全国で活躍するダンサーの皆さん、定員数が限られていますが、奮ってお申込みください!

2017年 城崎国際アートセンター 青木尚哉グループ&リサーチ稽古風景


>>パフォーマンス・ワークショップ プログラム内容

A/Bそれぞれのコースには、異なる2つのダンスクラスが設定されています。どちらかひとつだけしか興味がないなあ、と思っている方、今回はせっかくのDance Campの機会。あえて異なるダンスの手法にアプローチしてみてください。きっとこれまで知らなかった新たな身体の使い方、ダンスの手法を習得できるお得な機会です。そして意外かもしれませんが、Aコースの西洋のダンスと日本舞踊のアプローチ、Bコースのコンテンポラリーダンスと音楽、舞踏と金粉パフォーマンス、という相反するクラスを同期間に体に入れることで、ダンサーとしての相乗効果を狙っています。この実験的とも言える贅沢な機会に挑戦してみてください。

また、KIACでの滞在期間中、ダンスの稽古にプラスして、講師を囲み膝を突き合わせての「夜学」を行います。これまでの創作活動について、感銘を受けた世界のダンスについて、独自な振付・パフォーマンス理論など、滅多に聞けない貴重なプライベートダンス講座も開講します。

講師プロフィール⇒

【Aコース】期間:12/1(土)集合日~12/8日(土)解散日

①「動きの解像度を上げる~バッハ「フーガの技法」を踊る」
講師:寺田みさこ

バレエやモダンダンスなどのテクニックをウォームアップとして日々行いますが、それらの型の習得を、実際に振付作品を踊るときに活きたダンス・テクニックとして活用できるよう、各々の身体に則した翻訳方法を探っていきます。その後、いくつかの短い動きのセンテンスを体験していく中で、個々の動きのフォルムや質感・速度などを徹底的に微細に分析し、動きの解像度を上げていきます。更にそのことによって空間にどのような変化をもたらすことができるのかを探りたいと思います。最終的にバッハ「フーガの技法」に私が振付した作品の一部を踊ってもらいます。優れたパフォーマンスは、時間のかかる作業を丹念に重ねていくことでしか生み出せません。今回は短い期間ではありますが、その方法の一端を受講生の皆さんと共有できればと思っています。

②「コンテンポラリーダンサーが日本舞踊の古典作品を踊ってみる」
講師:余越保子

芸術を志す者は、常に新しいものへと駆り立てられていますが、歴史を振り返ることで発見することはたくさんあります。私は、縁あって日本舞踊を習うようになり、実際に自分のカラダで名作を踊ってみると、それは発見と驚きの連続でした。京鹿の子娘道成寺」「島の千歳」「藤娘」など、古典作品は発想の転換、構成の緻密さ、自由奔放な世界観、鮮やかな時空の扱いが見事です。それは、独舞のダンスのお手本にもなります。コンテンポラリーダンサーにも踊れる古典舞踊があってほしい。
その強い思いもあり、今回は日本舞踊の古典作品を踊ってみる機会を持ちたいと思います。ワークショプでは、じっくりと体を緩めた後に、一人一人にお稽古をしていきます。見学は自由です。自習スタジオで自分が好きなだけ練習することができます。一人につき、古典作品を1作品踊ってみることを課題とし、最後に成果発表を行います。参加にあたり、白足袋、浴衣一式(派手でないもの)、そして、踊り用のお扇子を一本ご用意ください。⇒詳細テキスト続きはこちら

【Bコース】 期間:12/15(土)集合日~12/22(土)解散日
①「音楽にIN OUT」 講師:康本雅子
私は踊っている時、音楽とSEXしている。音楽にズブンと入っていって知らない感覚に溺れたい。自分の体を忘れたい。突っ込み突っ込まれながら時には奴隷になるのも厭わない、でも操る事も忘れない。言うまでもなく音楽はそれだけで完結している。ダンスなんか必要としていない。だからこそそれを使うときは絶対に、音楽が一瞬聞こえてこなくなる位ダンスが見えてこなきゃ駄目だ。動いてるだけじゃダンスにならない。イかないとダンスが咲かない。
て、な、訳で、音楽に振り付けるってどういう事か。を検証しては訓練します。そう、ちゃんとイくにはそれなりに技術と慣れが必要なのです。

②「舞踏の身体訓練~金粉パフォーマンス」  講師:みずのりつこ
舞踏が誕生して50年以上が経過。日本の優れた伝統芸能・歌舞伎・能などの基本的な身体へのアプローチをベースに、日本人の体形を特徴的に捉えた独自のメソッドを開発。日本発のオリジナル・ダンスBUTOHとして海を渡り、世界的に著名な振付家や、欧米人から南米・アジア人まで舞踏家を名乗るダンサーが世界に分布するほど、影響を与えてきました。戦後、欧米の身体の捉え方を踏襲し、構築してきた日本のコンテンポラリーダンサーが、今舞踏訓練を経験することは、未来を踊っていく舞踊家として、身体的概念を広げる好機となると信じます。今回は、舞踏の身体訓練から始め、“ふりをする“のではなく、“そのものになる”踊りを演習します。鶏、獣、木、婆などの舞踏のエチュードから、舞踏創設期に振付けられ1980年から90年代にかけて、実際に踊られていた金粉パフォーマンスを踊る機会もつくります。

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【実施概要】
■Dance Camp @城崎国際アートセンター(KIAC)
ダンサーのための実践的パフォーマンス・ワークショップ
開催期間:2018年12月1日~22日
会場:城崎国際アートセンター 兵庫県豊岡市城崎町湯島1062
WEB  http://kiac.jp/jp/

  【応募条件】
受講費 3万円
城崎国際アートセンターまでの往復移動費は参加者負担。
実施期間の稽古場・宿泊場所はKIAC施設を利用。費用はかかりません。 宿泊部屋は、個室ではありません。
食事は、当番制で自炊をします。食料材料費実費を現地で自己負担。
プログラム期間中、KIAC滞在アーティストとして1回100円で外湯入浴が可能。

【応募資格】
3年以上、ダンス活動経験のある振付家・ダンサー。
選択したAまたはBコースのプログラム期間中、全日参加できる方。

※どうしても全日参加が難しい方などは、下記の【お問合せ方法】でご相談ください。
心身ともに健康で集団生活ができる方。
8月Performative Work ワークショップ&クリエーション@NPO法人ダンスボックスに参加した方は、定員を超えた申込があった場合でも優先して参加できます。
【応募人数】 A、Bコース各10名程度。
【申込〆切】10月30日17:00まで

【申込方法】
メールのみで受付けます。
AまたはBのいずれか希望するコースと、★申込参加者情報1から10を明記し、件名に<申込者の氏名>を記入し、pwwc@jcdn.orgまで送信してください。

★申込参加者情報
1. 氏名(ふりがな)  年齢   性別
2.  芸名
3.  住所
4. 携帯電話
5. メールアドレス
6. 申込理由
7. これまで学んできたダンスのジャンルと年数
8. 舞台出演・作品制作・発表などの活動歴。出演したダンス作品の動画youtubuかvimeoなどにアップしたアドレスをお送りください。ご自身の独舞があればベストです。 ※動画資料がない場合は提出いただかなくても問題ありません。
9. Dance Campで成果発表する一部を2019年3月21日(木・祝) DANCE LINK @京都芸術センターでも、ショーイング予定です。
[共催:京都芸術センター Co-program 2018カテゴリー D「KACセレクション」採択企画]
スケジュール対応可能かどうか明記ください。
京都芸術センターまでの旅費などは自己負担になります。
京都芸術センターを18日からリハーサルとして使用可能です。
10. JPG画像で、顔写真1枚、舞台写真1枚 を添付してください。

【お問合方法】
メールアドレスpwwc@jcdn.org 宛に、お名前・携帯電話番号・お問合せ内容を明記ください。こちらからメールまたは、お電話にて応対します。

主催:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)
協力:(豊岡市)
NPO法人ダンスボックス   


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<講師プロフィール>

寺田みさこ

ダンサー・振付家。幼少よりクラシックバレエを学ぶ。1987年より石井アカデミー・ド・バレエにて、石井潤振付の主要レパートリーに多数主演。1991年より砂連尾理とダンスユニットを結成し国内外で作品を発表。2002年「トヨタ コレオグラフィーアワード2002」にて、次代を担う振付家賞、オーディエンス賞をダブル受賞。平成16年度京都市芸術文化特別奨励者。2006年以降ソロ活動を開始し、山田せつ子、山下残、白井剛、笠井叡振付作品の他、渡邊守章演出作品などに出演。自身の作品としては、2007年ソロ作品「愛音」、2013年グループ作品「アリア」、2018年3人の振付家によるソロ作品「3部作」を発表。アカデミックな技法をオリジナリティへと昇華させた解像度の高い踊りに定評がある。

『三部作』Trilogy より「世界のすべての女たち」振付:マルセロ・エヴェリン 撮影:岩本 順平

■余越保子

photo: Peggy Kaplan

京都在住。演出、振付、映像作家。2014年までニューヨークを拠点に活動。グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館、マサチューセッツ現代美術館の他、ダンススペースプロジェクト、ニューヨークライブアーツにてマルティメディア·ダンス作品を発表。アメリカ国内ツアー、パリ、アムステルダム、ダブリン、ソウルなど海外公演多数。2004年から2014年にかけて日本の伝統芸能者との国際共同プロジェクトをプロデュースし、ジョンサイモングッゲンハイム財団、ファンディションコンテンポラリーアート財団のフェローシップの他、ベッシー賞最優秀作品賞を2度受賞した。2006年から2013年までNY市の先端アートセンターのキッチンにてアーティストキュレイターとして育成プログラム・Dance&Processを担当。ウイーン/インパルスタンツのダンスウエブ・プログラム、ダンスボックス主催/国内ダンス留学で振付のメンターを務め、定期的に若手振付家のためのクリエーションワークショップを開催している。
英語WEB    動画Tyler Tyler
「ZERO ONE」についてインタビュー記事

■康本雅子

ダンサー・振付家。1974年東京都生まれ。高校生時代のDISCO通い、20代のバックパッカー時代に出会ったアフリカンダンス、サザンオールスターズのツアーダンサー等を経て、26歳の頃から作品を創り始める。2004年旧バニョレ国際振付賞にてナショナル協議員賞、2006年トヨタコレオグラフィアワードにてオーディエンス賞受賞。自作品を国内外で発表する他、演劇やミュージックビデオや企業PVの振付など、多岐にわたるジャンルで活動する。特にミュージシャンとの共演は数多く、これまでにASA-chang&巡礼、オオルタイチ、テニスコーツ、GRAPEVINE、清水靖晃などのライブに出演。2012年からは福岡、2015年からは京都に移住。行く先々で小学校でのWSを行うはマスト。最新作は子供と親の関係をもとにした作品「子ら子ら」を発表。公式WEB

photo : Hideo Maezawa


■みずのりつこ

 

ダンスプログラム・ディレクター。1980年創立から1994年解散まで、舞踏カンパニー白虎社の舞踏手・広報制作として活動。国内、海外多数のフェスティバルに出演。白虎社の“明るい暗黒”をキャッチフレーズに、TVやメディアなどで広く取り上げられ、当時のポップカルチャーとしても注目を集めた。本公演の他に、<出前芸術体>としてイベント・ショーなどの場で、多くのステージに立つ。解散後96年より1年間N.Y.に滞在しDTW、ムーブメントリサーチ等の活動を体験。98年帰国後、JCDN設立準備室開設に参画以降、ダンス環境整備のプログラムを企画主催する。近年では、作品制作&全国巡回公演「踊りに行くぜ!!」Ⅱ(セカンド)<DANCE×MUSIC×MOVIE!>JCDN国際アーティスト・イン・レジデンス・プロジェクト、などがある。2017年より城崎国際アートセンターで、振付家ダンサーのための育成プログラムを開始。2012年別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」で、金粉パフォーマンスの復活を監修しTHE NOBEBOを結成。

 

The NOBEBO photo: Toshie Kusamoto

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コンテンポラリーダンサーが日本舞踊の古典作品を踊る

テキスト:余越保子

日本の古典芸能は、師匠をひたすら真似てお稽古します。第三者の目を絶対的に必要とする訓練法です。弟子は自分の体を入れ物のように扱い、その入れ物自体を目の前にある身体に近づけていく。訓練そのものもが、様式や型という美学に、理屈なしで自分を差し出しその過程で自我を失くしていく作業です。

お能などの古典と異なり、日本舞踊は所作を軸として振りつけられているので、筋力の管理とは別のなにか、素直な体のしぐさとか行為の連続のコーディネーションが、時間を経て体の中でお漬物のように発酵します。歳をとっても踊れる、というよりは、歳をとるからこそ踊れるという、東洋ならではの美学をもった動きの芸術品と思います。

ニューヨークでは、作品制作の過程で、アメリカ人に日本舞踊の古典作品を教えてきました。この作業は、日本の師匠から受け取った踊りをそのままこぼさずダンサーに受け渡すという責任重大なバトンタッチ作業でした。それは、振付のワークショップなどで教えるときの思考回路とはまったく異なります。

驚いたことは、日本人特有とされるこの踊りが、すぐれたアメリカ人のコンテンポラリーダンサーにより踊られたならば、ダンスとしてしっかりと成り立つということでした。実際、ニューヨークで「Tyler Tyler」という作品に出演し日本舞踊を踊ったイラン人ダンサー(アメリカ国籍)はその年の栄誉あるベッシー賞のベストダンサー賞を授与しています。私にとって、古典舞踊を知ることは、踊りの普遍性を実感し、同時に文化の境界の曖昧さに立ち会うきっかけでもありました。

コンテンポラリーダンサーの多くの人は、クラシックバレエであれ現代舞踊作品であれ、歴史上に残る名作を踊ったことがない人が多いと思います。その無知なカラダ、まっさらな状態こそがコンテンポラリーダンスの強みだからです。コンテンポラリーが日本に入っていきた当時、そこには素の身体の力強さがありました。観客の寛大な視線は時代とともに広げられていきましたが、その流れに安易に乗っかり思考も思慮もない身体を堂々とさらしていくコンテンポラリーダンスの多くの作品に観客が興味を失っていったことも事実です。ニューヨークでも同じことが起こりました。コンテンポラリーダンスへの批評は、頭でっかちな怠惰な身体という面で、酷評されることが多いです。

芸術を志す者は、常に新しいものへと駆り立てられていますが、歴史を振り返ることで発見することはたくさんあります。縁あって日本踊を習うようになり、実際に自分のカラダで名作を踊ってみると、それは発見と驚きの連続でした。発想の転換、構成の緻密さ、自由奔放な世界観、鮮やかな時空の扱いが実に見事であり、名作にはソロダンスの理想形を見ることができます。

伝統舞踊と現代舞踊が完全に隔離されてきた日本のダンス。しかし、今、ダンスを取り巻く文化の境界線はいよいよ曖昧になっています。コンテンポラリーダンサーはさまざまなダンスの訓練を経て、多数の振付家との共同クリエーションを通して舞台に立ちます。ボキャブラリーの多さ、解釈の柔軟性、そして、どんな動きも成りたたせるという特殊能力を持っています。(持っているべきです!)これから将来いろいろなことが可能になるだろうと予測します。

ダンサーにも踊れる古典舞踊があってほしい。その強い思いもあり、ダンサーが日本舞踊の古典作品を踊ってみる機会を持ちたいと思います。

日本舞踊について

みなさんは日本舞踊と聞くと何を想像されるでしょうか? 私は長い間なよなよとした気色の悪い成金趣味の匂いがぷんぷんとする芸術とはほど遠いシロモノと、ずっと思っておりました。六世藤間勘十郎の踊りに出会うまでは。

六世藤間勘十郎 (初代から名前を受け継いで六人目ということです)は何代も続く芸能の家に生まれたわけではなく、東京下町の深川で生まれ、幼い頃歌舞伎役者の元に弟子入りました。その踊りの才能を買われて藤間家に芸養子として入りました。そして後に歌舞伎の振付家としてデビューします。 日本のみならず、世界のダンスの舞踊史を含めたとしても抜きん出た芸術家のひとりと私は思います。

わたしはビデオで初めて彼の踊りを見たとき、水のように流れる透明感のあるその動きに一瞬で虜になりました。水墨画で空間をデッサンするように繊細かつ大胆な濃淡のある魔法のような振付。私たちがその踊を生で見ることは、もはや叶いませんが、六世藤間勘十郎の美学を現在も受け継ぐ舞踊家はいます。現在の八世藤間勘十郎はもちろんのこと、幼少の時から半世紀近く六世藤間勘十郎氏に厳しく仕込まれた世家真(「せやま」と読みます)流家元の世家真ますみ先生です。

私は2003年から13年の10年間、世家真ますみ先生の元で六世藤間勘十郎の踊りを仕込まれまし た。また、師匠との共同制作を行いダンス作品を次々とニューヨークで発表してきました。10年間、文字通り死に物狂いでお稽古に励み、最後に「ベル」という作品のなかで「京鹿の子娘道成寺」を踊りました。現在京都に拠点を移して以来、独自にお稽古を続けています。

私は作品作りのために、ますみ先生に許可をいただいてニューヨークの数々のアメリカ人ダンサーに日本舞踊を伝え、舞台に上げてきました。あなたの踊りが、私が師匠から教えて頂いたその美学からちょっとでもずれていれば、すぐにわかります。私はプロの振付家ですから、自分の眼力を信じます。

ワークショプでは、じっくりと体を緩めた後にひとりひとり、お稽古をしていきます。見学は自由です。自習スタジオで自分が好きなだけ練習することができます。ひとりにつき、古典作品を1作品を踊ってみることを課題とし、最後に成果発表を行います。

参加にあたり、白足袋、浴衣一式(派手でないもの)、そして、踊り用のお扇子を一本ご用意ください。